皆さんこんにちは。文月です。
本日はCBRN(シーバーン)についてお話します。
CBRNとは、「chemical(化学)」「biological(生物)」「radiological(放射線)」「nuclear(核)」の頭文字を組み合わせたもので、いわゆる「人間に害を及ぼすこれらの物質、兵器」のことを差します。
また、これらを使用したテロを「CBRNテロ」、これらによる災害を「CBRN災害」といいます。
近年の国際情勢においては、イスラム過激派による一般人を狙ったテロが各地で発生しています。
日本は、現在ラグビーワールドカップを行っていて、来年は東京オリンピックも控えていますが、こういった国際イベントは世界中の注目となり、テロリストの政治的・宗教的アピールの場としては絶好の機会であり、過去にオリンピックを狙ったテロがいくつも発生していることを考えると、日本においてもテロは他人事ではありません。
こうした中、世界各国ではCBRN事態に対する体制を強化しており、CBRN対策が世界的に進んでいます。
本日はその「CBRN」の基礎的な事項についてみていきます。
目次
CBRNの種類
CBRNは「化学、生物、放射線、核」を意味します。
それぞれの特性は以下のとおりです。
○化学(chemical)
有毒化学剤や有害物質などです。
有毒化学剤はもともと軍用に特別に開発されたもので、サリンやVXなどがこれにあたります。
有害物質は工業用とか我々の生活に関連しているけれども毒性を有するもので、アンモニアとか塩素などはこれに含まれます。
代表的なものは各種法令などで示されています。
○生物(biological)
自然に存在する毒素や微生物などです。
毒素で有名なのはボツリヌス菌やリシンなどでしょうか。
O-157もこれに含まれます。
微生物だとコレラやペストが有名ですね。
一時期世間を騒がしたエボラやデング熱なども一緒です。
○放射線(radiological)
放射性物質や放射線、放射能などを説明しようとするととてつもなく長くなるので、また別に説明したいと思います。
放射線の特徴はなんといっても五感で感じることができないこと。
放射線を測定するには専門の計測器が必要です。
○核(nuclear)
言わずもがなの核兵器。
原子核の核分裂又は核融合反応による莫大なエネルギーを爆弾として転用したものが核兵器です。
核兵器の効果には「爆風」、「熱線」、「放射線」、「電磁パルス」があり、これらが総合的に作用します。
爆風により物理的な破壊を起こし、熱線により火事などを起こし、放射線により放射化や放射線障害を起こし、電磁パルスによって通信機器やパソコンなどの精密機器を使用不能にします。
CBRNの脅威
CBRN事態は過去に何度も起きています。
以下、テロと災害に分けて紹介します。
○CBRNテロ
ハラブシャ事件は、イラクのハラブシャでイラク軍がクルド人に対して行った化学兵器による白色テロです。
松本・地下鉄サリン事件は我が国で起こった最悪の都市型CBRNテロです。地下鉄サリン事件は6000人以上の負傷者を出しました。
アメリカ炭疽菌事件は、炭疽菌の入った郵便物が報道機関や議員事務所に送られたもので、5名の死亡者を出しました。
○CBRN災害
- スリーマイル島原子力発電所事故
- チェルノブイリ原子力発電所事故
- 東海村JCO臨界事故
- 福島第一原子力発電所事故
スリーマイル島原子力発電所事故、チェルノブイリ原子力発電所事故、福島第一原子力発電所事故はそれぞれメルトダウン事故です。
福島第一の事故はまだ8年前の出来事であり、原子力事故としては最も深刻な事故に分類されます。(チェルノブイリと一緒)
東海村JCO臨界事故は日本国内で初めて事故被曝による死者が出ました。
CBRNの恐ろしさは、その直接的な被害ももちろんそうですが、パニックを引き起こすことです。
基本的に目に見えない(核兵器は除く。核兵器の恐ろしさは文字通り破滅的な破壊力です。)ため、はじめは何が起きているかわかりません。
地下鉄サリン事件の時の写真を見てみると、消防、警察などの人もガスマスクをしていません。
これは、何が起きているかわからないからです。
何が起きているかわからないのに被害が広がっていく。
うわさも広がる。
パニックが広がって収集がつかなくなります。
パニックが広がれば事態収集も遅れてしまい、結果被害も拡大します。
CBRN事態の恐ろしさはこういったところにあります。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
CBRN事態にあたっては、正しい知識が必要です。
今後も引き続きCBRNに関して情報発信していきます。
本日もご覧いただきありがとうございました。